大阪高等裁判所 昭和24年(を)4095号 判決 1950年4月11日
被告人
朴秤守
主文
本件控訴はこれを棄却する。
理由
(イ) 弁護人村井祿楼の控訴趣意第一点について。
所論鑑定書の各葉間に契印がなく、また被告人の副検事に対する第二回供述調書中被告人の署名下に拇印がないこと所論のとおりであるが前者についてはその書体および記載の続き具合がらでも、同一人の作成に係ることを窺知し得るから契印を欠いても鑑定書として欠くるところはないし後者については同第一回供述調書中の被告人の署名と対照して被告人の筆蹟なることを認め得られるから、これの証拠を採つた原審に何等の違法はない。論旨は理由がない。
(ロ) 同三点について。
昭和二十四年四月十四日附灘税務署長大藏事務官坂田隆夫の告発書には犯則事実として、被告人が政府の免許を受けずして被告人住居で米、米麹および水を原料として醗酵せしめて燒酒および濁酒を製造したものである旨記載されており、国税犯則取締法には国税局又は税務署の收税官吏につき告発に関する規定があるが、告発書の記載事項などにつき規定されていないから、燒酒、濁酒の数量の記載がなくても告発書の無効を招来するいわれはない。論旨は採用し難い。